会長あいさつ

ご挨拶

地域移行の取り組み ~梅ヶ丘拠点施設への期待~

 津久井やまゆり園の事件が起きて一年が経過しました。新聞、雑誌、TVなどでも多くの特集が組まれ、改めて亡くなられた方々の生前の生活に思いをはせました。一日も早く利用者さんの気持ちに沿った暮らしの場の再建に見通しが立つことを祈ります。

 さて、8月の暑い日、東京都育成会が設置運営する「清瀬育成園ひだまりの里きよせ」を訪問しました。ひだまりの里は今年5月にオープンした障害者支援施設で、都立東村山福祉園の加齢児となった利用者さんをたくさん受け入れています。地鎮祭の時には広大な敷地だと思っていた場所は、建物が建ち上がってみるとそれほどでもなく、カフェ「サンハウス」の前を車で行きすぎてしまうほど何気ない建物でした。それこそ利用者一人ひとりをあたたかく包み込むひだまりのような雰囲気を醸し出していましたが、いったん建物に足を踏み入れると、重度で行動障害を伴う利用者さんが多いので、廊下の広さや使われている材質など随所に工夫がみられ、法人のこれまでのノウハウの蓄積を感じました。  てんかんや肢体不自由などの重複障害のある人も個別支援計画に沿って個別の支援を受けており、職員の方々が一生懸命に支援に取り組んでいる姿が印象的でした。  隔離された施設とはならないように地域とのつながりも考慮し、通所の就労継続B型の事業としてパンやお菓子を作り、カフェでは地域の放課後等デイの子どもたちが遊びに来ていて、なかなかほほえましい光景でした。  施設入所支援、生活介護、短期入所10床、就労継続支援B型、相談支援事業を実施するこの施設ができたことは、清瀬やその周辺の人々にとって大きな安心につながっていくのだろうと感じ、世田谷区の梅ヶ丘拠点施設のことをふと思いました。

 7月の東京都育成会都大会の午後の研修では、北海道の社会福祉法人「はるにれの里」木村昭一理事長による講演がありました。はるにれの里の実践はひだまりの里に大きく影響を与えています。
 はるにれの里は、昭和61年に札幌自閉症児者親の会の運動により設立された社会福祉法人で、自閉症や強度行動障害があってもグループホームや一人暮らしへの移行を進め、障害特性に配慮した支援に取り組んでいます。
 行動障害をなくすことが彼らの人生の目標ではないと木村理事長はおっしゃいます。確かにそれは行動障害の方ばかりにあてはまるものでもないと思います。
 はるにれが運営する数ある事業所の中で特に「札幌市自閉症者自立支援センターゆい」は強度行動障害を伴う自閉症に特化した入所支援施設で、明確に3年と期間を区切って地域移行を進めます。資料によれば、法人内のグループホーム利用者(平成28年度)は151人で、平均支援区分は5.61(支援区分6が71%、支援区分5が16%、計87%)。重度だから生活の場は入所施設しかないという家族の思い込みは、施設側の特性に配慮した支援により徐々に払拭されていきます。

 31年4月に開所される梅ヶ丘拠点施設も、重度でも地域で支え切るという気迫と意思をもって運営していただきたいと強く思った夏でした。

世田谷区手をつなぐ親の会
会長 上原 明子